エクセルをPDFに変換・保存する方法|Windows・Mac・スマホ
エクセルをPDFに変換する作業は、Excelの標準機能だけで完結します。ソフトの追加も、変換サイトへのアップロードも必要ありません。ここではWindows・Mac・スマホ別の手順、「名前を付けて保存」「エクスポート」「印刷」の使い分け、「1ページに収まらない」「右端が切れる」といった失敗の直し方をまとめます。
Windows版Excelでの手順
Excel 2013以降であれば、次の手順が最も確実です。「印刷」からPDFにする方法よりも、文字情報が正しく残ります。
- PDFにしたいブックを開きます。
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」を選びます。
- 「PDF/XPSの作成」ボタンを押します。
- 保存先とファイル名を指定します。
- 「オプション」で、PDFにする範囲(選択範囲・アクティブシート・ブック全体)を指定できます。
- 「発行」を押すと、PDFが作成されます。
「名前を付けて保存」からPDFにする
エクスポートを探すより、こちらのほうが早い場合もあります。結果は同じで、どちらもExcel自身がPDFを書き出します。操作しやすいほうで構いません。
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」を選びます。
- 保存先を選び、ファイルの種類(ファイル形式)で「PDF」を選びます。
- 「最適化」は「標準(オンライン発行および印刷)」のままにします。「最小サイズ」を選ぶと画像が粗くなるため、印刷する資料には向きません。
- 「オプション」で、PDFにする範囲(選択範囲・アクティブシート・ブック全体)とページ範囲を指定できます。
- 「保存」を押すと、PDFが作成されます。
保存したあとPDFが自動で開くのを止めたい場合は、「発行後にファイルを開く」のチェックを外してください。
「オプション」ダイアログの項目一覧
エクスポートでも「名前を付けて保存」でも、途中に出てくる「オプション」は同じ内容です。手順を説明する記事の多くはここを飛ばしますが、「右端が切れる」「作成者名が残る」といった問題はこのダイアログで片付くことが多いので、一度目を通しておく価値があります。以下はWindows版Excel(2016以降・Microsoft 365)の内容です。
| 項目 | 何が変わるか |
|---|---|
| ページ範囲(すべて/ページ指定) | 出力する紙のページ番号で指定します。Excelの行番号ではなく、改ページ後のページ番号である点に注意してください。 |
| 発行対象(選択した部分/選択したシート/テーブル/ブック全体) | 「選択したシート」は、書き出す前にタブで選んでおいたシートが対象です。Ctrl(Macはcommand)を押しながら複数のタブを選べます。 |
| 印刷対象範囲を無視する | 各シートに設定済みの印刷範囲を無視して、データのある範囲を全部出します。「右端の列が切れる」の原因が古い印刷範囲の場合、ページレイアウトを触らずにここのチェック1つで解決します。 |
| ドキュメントのプロパティ | 作成者名・会社名・タイトルなどをPDFに埋め込みます。社外に出す資料では外すかどうかを判断してください(PDFに残る情報とパスワード)。 |
| アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ | 見出しや表の構造をPDFに持たせます。読み上げソフトへの対応に必要です。PDF/Aと組み合わせたときの挙動は次の節で説明します。 |
| ISO 19005-1に準拠(PDF/A) | 長期保存用の形式で書き出します。フォントがすべて埋め込まれるぶんファイルは大きくなります。 |
| ビットマップテキスト(フォントを埋め込めない場合) | ライセンス上の理由などで埋め込めないフォントを、文字ではなく画像として出します。見た目は保たれますが、その部分は文字として選択・検索できなくなります。 |
印刷(Microsoft Print to PDF)でPDFにする方法との違い
印刷ダイアログでプリンターに「Microsoft Print to PDF」を選ぶ方法もあります。手軽ですが、仮想プリンタを経由するぶん、フォント情報が不完全になったり、文字を選択できないPDFになったりすることがあります。あとでそのPDFをエクセルに戻す可能性があるなら、「エクスポート」を使ってください。
差が出るのは文字だけではありません。セルに入れたハイパーリンクは、エクスポートや「名前を付けて保存」ならPDF上でも押せるリンクとして残りますが、印刷経由では見た目の青い文字が残るだけでリンクとしては機能しません。目次シートから各シートへ飛ばす作りのブックでは、この違いがそのまま使い勝手に出ます。
xls形式(古いエクセル)のファイルをPDFにする
拡張子が.xlsのブックでも手順は変わりません。Excel 2010以降なら標準機能でそのままPDFにできます。Excel 2007では、Service Pack 2以降か「Microsoft Save as PDF」アドインを入れた環境でのみ、ファイルの種類にPDFが現れます。それ以前のバージョンでは標準機能で書き出せないため、いったん.xlsxで保存し直すか、印刷経由でPDFにしてください。
なお.xlsは1シートあたり65,536行・256列までしか保持できません。.xlsxから変換して受け取ったファイルでは、この上限を超えた行や列が落ちていないかをPDFにする前に確認してください。
Mac版Excelでの手順
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」を選びます。
- ファイル形式で「PDF」を選びます。
- 「ブック全体」「シート」「選択範囲」から出力範囲を選び、「保存」を押します。
Macでは「ファイル」→「プリント」→左下の「PDF」→「PDFとして保存」でも作成できます。ただしWindowsの場合と同様、印刷経由よりも「名前を付けて保存」のほうが情報が多く残ります。
スマホ(iPhone・Android)での手順
Microsoft 365(Office)アプリを使えば、スマホだけで完結します。
iPhone・iPad
- Excelアプリでブックを開きます。
- 右上の「…」→「エクスポート」→「PDF」を選びます。
- 保存先(ファイルアプリ、iCloud など)を指定します。
共有シートから「プリント」を開き、プレビューをピンチアウトしてPDFとして保存する方法もありますが、レイアウトが崩れやすいためエクスポートを推奨します。
Android
- Excelアプリでブックを開きます。
- メニューから「共有」→「PDFとして送信」を選びます。
- PDFが生成され、保存または送信できます。
シート単位・複数ファイルでの変換
特定のシートだけPDFにする
PDFにしたいシートのタブをクリックしてアクティブにしてから、エクスポートのオプションで「アクティブシート」を選びます。複数のシートを対象にする場合は、Ctrlキー(Macはcommandキー)を押しながらタブを選択してからエクスポートします。
1つのシートを1つのPDFに分けたい
標準機能では一括で分割できません。シートごとにエクスポートを繰り返すか、シートを別ブックに移動してから変換します。数が多い場合はマクロ(VBA)でExportAsFixedFormat を各シートに対して実行する方法が確実です。
複数のブックをまとめてPDFにする
ファイルをすべて選択して右クリックし「印刷」を選ぶと、既定のプリンター(PDF出力)へ順に送られます。ただし印刷範囲の設定は各ブックの設定に従うため、事前に各ブックで印刷範囲を整えておく必要があります。
PDF/A(ISO 19005-1)で書き出す
官公庁への提出や、社内規程での長期保存を求められたときに指定される形式です。PDF/Aはフォントを必ずファイル内に埋め込み、外部への参照を持たないため、何年後に開いても同じ見た目になることを狙った規格です。Excelは追加のソフトなしでこの形式を書き出せます。
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」に進みます。
- 「オプション」を開きます。
- 「ISO 19005-1に準拠(PDF/A)」にチェックを入れて「OK」を押します。
- 「発行」を押します。
提出先から「PDF/A-1a」と「PDF/A-1b」のどちらかを指定されることがあります。Excelの画面にこの表記は出てきませんが、同じダイアログの「アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ」で切り替わります。チェックを入れたままならPDF/A-1a、外すとPDF/A-1bになります。指定があるのに画面上でそれらしい項目が見つからない、という行き止まりはここが原因です。
ExportAsFixedFormatから書き出した場合でもPDF/Aで出ます。マクロ側にPDF/Aを指定する引数はないため、これを利用して一括処理をPDF/Aで揃えることもできますが、逆に「いつの間にか全部PDF/Aになっていて容量が増えた」という形で出ることもあります。意図しない場合はチェックを外して一度書き出し直してください。PDFに残る情報とパスワード
作成者名や会社名がPDFに残る
既定では、ブックのプロパティ(作成者・会社名・タイトルなど)がPDFに埋め込まれます。作成者名には、そのパソコンにOfficeを入れたときの利用者名や、元になったテンプレートを作った人の名前が入っていることがあります。取引先に出す見積書のプロパティに前任者や別の会社の名前が残る、といったことが実際に起きます。
書き出す前に、「ファイル」→「情報」→右側の「プロパティ」で中身を確認できます。まとめて消す場合は、同じ「情報」の画面で「問題のチェック」→「ドキュメント検査」を実行し、検出された項目を削除します。1回だけPDFに載せたくないのであれば、書き出し時の「オプション」で「ドキュメントのプロパティ」のチェックを外すほうが簡単です。
PDFにパスワードをかけたい
ExcelのPDF書き出しには、パスワードや暗号化の項目がありません。ブック側に設定した読み取りパスワードもPDFには引き継がれず、書き出したPDFは誰でも開ける状態になります。ここを勘違いしたまま送ってしまうと、保護しているつもりのファイルがそのまま渡ります。
PDFにパスワードが必要な場合は、書き出したあとにPDF側で設定します。Acrobatの有料版のほか、送信先がクラウドストレージやメールの機能で保護できるならそちらでも構いません。エクセル側で完結させる方法はない、という点だけ先に押さえておいてください。
よくある失敗と直し方
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 1ページに収まらない | 用紙幅より表が広い | 「ページレイアウト」→「拡大縮小印刷」で「横 1 ページ」に設定します。または印刷の向きを横にします。 |
| 右端の列が切れる | 印刷範囲が古いまま残っている | 「ページレイアウト」→「印刷範囲」→「印刷範囲のクリア」を実行してから設定し直します。 |
| 図形やグラフがずれる | セルに合わせて図形が動く設定になっている | 図形を右クリック→「サイズとプロパティ」→「セルに合わせて移動やサイズ変更をしない」を選びます。 |
| 2ページ目以降に見出しが出ない | タイトル行が設定されていない | 「ページレイアウト」→「印刷タイトル」で行を指定します。 |
| 白紙のページが混ざる | データのない範囲が印刷範囲に含まれている | 不要な行・列を削除し、Ctrl+Endで最終セルを確認してから保存し直します。 |
| PDFにすると文字が変わる | フォントが埋め込まれていない | 「ファイル」→「オプション」→「保存」で「ファイルにフォントを埋め込む」を有効にします。 |
| 保存したPDFが開けない | 拡張子が付いていない/保存が途中で止まっている | ファイル名の末尾が.pdfになっているかを確認します。ネットワーク上のフォルダへ直接保存すると失敗することがあるため、いったん手元に保存してから移動してください。 |
| PDFの文字が選択できない | 印刷経由で作ったため、文字が画像として出力されている | 「エクスポート」か「名前を付けて保存」で作り直します。あとでエクセルに戻す予定があるなら、この違いが結果を大きく左右します。 |
| 日付や数値が####になる | 列幅が足りない | 画面で読めていても、PDFには表示されているとおりに出ます。列の境目をダブルクリックして幅を内容に合わせるか、フォントサイズを下げてから書き出してください。金額欄でこれが起きると、桁が読めない資料がそのまま相手に届きます。 |
| リンクを押しても飛ばない | 印刷経由で作っている | 「エクスポート」か「名前を付けて保存」で作り直します。印刷経由ではリンクの情報が落ちます。 |
| 条件付き書式の色が出ない | ページ設定が白黒印刷になっている | 「ページレイアウト」→「ページ設定」の右下を開き、「シート」タブの「白黒印刷」のチェックを外します。画面では色が付いているのにPDFだけ灰色、という場合はここです。 |
| ファイルサイズが大きすぎて送れない | 画像が高解像度のまま入っている/PDF/Aで書き出している | 書き出し時に「最小サイズ(オンライン発行)」を選びます。それでも大きい場合は、画像を選んで「図の形式」→「図の圧縮」で解像度を下げ、「トリミング部分を削除する」にチェックを入れてから書き出してください。 |
PDFにする前に確認したい3点
- 改ページプレビューで区切りを確認する。「表示」→「改ページプレビュー」で、どこでページが分かれるかを目で確認できます。
- 非表示の行・列を確認する。非表示のままPDFにすると、その内容は出力されません。逆に、隠したつもりのデータが残っていないかも確認します。
- コメントや校閲の表示設定を確認する。設定によってはコメントもPDFに含まれます。社外に出す資料では特に注意してください。
PDFにしたあとによくある作業
ここから先はPDF側の話になりますが、Excelだけで片付くものもあります。何がExcelでできて何ができないかを先に整理しておきます。
| やりたいこと | Excelだけでできるか | やり方 |
|---|---|---|
| 複数のブックを1つのPDFにまとめる | 条件つきでできる | PDFを作ってから結合する道具を探す前に、各ブックのシートを1つのブックに集めてしまうほうが早い場合があります。シートのタブを右クリック→「移動またはコピー」で移動先のブックを指定し、最後に「ブック全体」で書き出せばPDFは1つになります。ページの順序もシートの並び順で決められます。 |
| 1つのブックを複数のPDFに分ける | できる | シート単位・複数ファイルでの変換のとおり、シートを選んでから「選択したシート」で書き出します。数が多い場合はマクロで回します。 |
| ファイルサイズを小さくする | できる | 「最小サイズ」で書き出す、画像を「図の圧縮」で軽くする、の2つでたいてい足ります(よくある失敗と直し方)。 |
| パスワードをかける | できない | PDFに残る情報とパスワードのとおり、PDF側で設定する必要があります。 |
| 数値を直す | 元ファイルがあればできる | 次の節のとおり、元のブックを直して作り直すのが確実です。 |
PDFにしたあとで編集したくなったら
PDFにしたあとで数値を直す必要が出た場合、原則としては元のエクセルを修正して作り直すのが確実です。元ファイルが手元にない場合は、PDFをエクセルに変換するツールで表を取り出せます。ただしPDFは表の構造を保持していないため、完全に元通りにはなりません。元ファイルは残しておくことをおすすめします。
変換方向のまとめ
| やりたいこと | 方法 | 難易度 |
|---|---|---|
| エクセル → PDF | Excelの「エクスポート」機能 | 簡単。レイアウトもそのまま保たれます。 |
| PDF → エクセル | 変換ツール、Excelの「データの取得」など | 推測が入るため、結果の確認が必要です。 |
| スキャンPDF → エクセル | OCRが必要(対処法) | 難しい。精度の確認が必須です。 |
この記事の根拠にした一次情報
仕様や手順は、策定元・開発元の公式資料を確認したうえで記述しています。
- Workbook.ExportAsFixedFormat メソッド(Excel VBA)(Microsoft)書き出しの設定項目(印刷範囲を無視する・ドキュメントのプロパティ・品質)と、マクロ側にPDF/Aを指定する引数が無いこと
このページの内容は2026年9月1日時点のものです。